言説やメッセージ、主張や情報を主体が自然に、かつ自ずからコンテンツ化しようとする時、そこで奇妙なことが起こっている。不気味で薄暗い何かだ。そのような個人、己の市場価値を常に最大化しようとする不断の努力(そして、それは既にモラル的な規範となってその主体のあらゆる思考、判断、仕草、行動の中へ十分に内在化されている)自ら己を投じる個人が、数百、数千万、数十億の肉塊となって共振する時、そこでいかなる価値や熱が生まれているのだろうか。一体、誰のために?何のために?本当に我々は我々自身を価値の単位やそれを生産する単位として取り扱い、そう意識し、そう自己認識し、そう努力し続けて死ぬ(熱エネルギーを使い果たす)べきなのだろうか。この広告を閲覧する、ゆえに私は存在するetc...当然ながらこのイデオロギーは人間の意識を細部に至るまで切断し、全て最小限に向かって部位化することで極めて熾烈な孤独へと追いやる。絶対の孤独、すべてから切断され、意識の薄暗い地平でのみ現象が生起可能な生暖かいぬるぬるした頭蓋骨の内壁にのみそれが視える。切断されていない人間、魔術化された人間は、一定の定められた時期のあいだ節度を持って自らの自我を集団の内へ消失させる営み(全体論的な祭事、儀式)をかろうじて覚えていたが、その群れを統合するために必要だった神や聖性という概念が消失したことで死に絶えた。貨幣から、それ自身の価値を担保する聖性の源泉たる神が消失した世界で、理論上は半永久的に動作し続ける経済…。その経済的熱量が一方向に増大するごとに、この場所は生物が生存可能な環境から遠のいてゆく。では我々はどうだろう?細かな所作や無意識のうちに今でも神が、地蔵尊や初詣やお金やお辞儀やこの恭しい「お」が刷り込まれている、同時に世界でも有数の病的な物質主義的現実観を併せ持った超汎神論的ニヒリストたる我々はどうだろうか?フィッシャーもグレーバーも、そのような世界を数千年かけてもたらした人々の問題については語ったがそれをもたらされた側、奇妙なキメラへと生成変化した人々について特には語らなかった。我々はガラパゴスという言葉が大好きであった。あの奇妙に生存競争から取り残された生物たちの妙に滑稽な姿を見るに、それはお世辞にも蔑称に過ぎないのだが。化け物じみた姿に生み直されて二元論的な可能性の外に放り出されているという意味ではキ...
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